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草木あそび 9月

フウロソウの仲間
09_gennosyoko.jpg

ゲンノショウコは夏の季語だと聞きます。

この名前を初めて耳にしたのは、きっと中学生の頃。
祖母が語っていたのを思い出します。
「とてもいい薬になる・・・」と言っていた記憶があります。
名前以外の言葉をどのように発したのかは忘れてしまいましたが・・・。

庭先のあちこちで花をつけるこの花が
その「げんのしょうこ」だと改めて気づいたのは、2年ほど前のこと。
庭の手入れでそこで過ごす時間が長くなり、草むしりが板についてきた頃でした。

植えた覚えもないのに、夏の終わりにかわいい花を咲かせる。
今では、この花の居場所を作って大切に育てています。

げんのしょうこ

花の可憐さに加えて、その花後の姿にはジーっと見入ってしまいます。

その姿がお神輿に似ているのでミコシグサとも呼ばれるようです。

ゲンノショウコ種

茶色いとんがりが、花後の姿です。このとんがりの朔果の形がフウロソウの仲間の特徴です。その姿が鶴の嘴に似ていることから学名のGeraniumがつけられました。

とんがりは熟すとその果皮が勢いよく5つに裂け種が飛ばされます。
種が飛んだあとの姿が、お神輿に似ていることから、ミコシグサとも呼ばれます。

mikosigusa.jpg


なんとも愛嬌のある姿です。

ゲンノショウコ  
現の証拠
フウロソウ科 フウロソウ属
別名 神輿草(ミコシグサ)、医者いらず(イシャイラズ)、たちまち草(タチマチグサ)
学名 Geranium thungergii
名前の由来は、読んで字のごとく薬として飲んですぐに効く、現実の証拠に早速効き目があることからその名がついた。
花は白花と赤花(ピンク)があり、中部地方より東には白が多く、西には赤が多い。


日本で古くから民間医療の薬草として、多く使われてきました。

ドクダミ、センブリと並んで「日本三大和薬」の一つですが、
漢方薬としては、ほとんど処方されることがないそうです。

現在の薬局方の「専ら医薬品」に収載されているということで、認可がないものはこの植物の売買はできません。

それほど、信頼のおける薬効を持つゲンノショウコの主成分は、加水分解性タンニン。
その葉をお湯にさっと浸すと便秘と下痢に効き、長く煎じると整腸作用も加わって
「お腹の万能特効薬」となります。
更に、利尿作用はもちろん、免疫力を上げることが期待できるそうです。

かつて、山伏によってつくられた「陀羅尼助」 (修験道の聖地により、「百草丸」「大山煉熊丸」などの名前もある。)は、
日本史上、最もヒットした医薬品と言われていますが、
キハダを主な原料とし、センブリやホオノキに加えてゲンノショウコも配合されます。

夏の終わりの暑い日に、庭からとってきたゲンノショウコの若葉を天ぷらでいただくと、
ほろっとした苦みがあり、
冷たいもので疲れた胃に良いような気がします。

春の芽吹きの頃は、その葉が猛毒のトリガブトに似て区別が難しいので、
採取は7、8月の花が咲いた頃にするのが良いようです。

花のかわいらしさが、私にとって一番の魅力であるゲンノショウコですが、
先に記しましたようにフウロソウの仲間です。

学名のGeraniumは、最近日本ではゲラニウムと呼ばれ、
ガーデニング愛好者の間では、花の大きい西洋種のゲラニウムが人気です。
よく知られている植物にゼラニュームと呼ばれる植物があります。
そちらは同じフウロソウ科の仲間ですが、テンジクアオイ属(ぺラルゴ二ウム属)の花をそう呼んでいるようです。

最初の写真と同じ下の写真の中の、
左側のピンクの花は、外来種のゲラニウム。和名アケボノフウロソウ。
真ん中がゲンノショウコ。
右がゼラニューム。

フウロソウの仲間

同じフウロソウ科でも、ゼラニュームには、
ローズゼラニュームなど香りのよいものもあり、香りを楽しむハーブの一種として扱われます。

ちなみにフウロソウ科フウロソウ属の植物のである、ヒメフウロには臭いがあるようです。
塩を焼いたような臭いがするのでシオヤキ草とも呼ばれるそうです。

薬草の聖地、伊吹山では、ヒメフウロはゲンノショウコと同じように扱われるそうです。

ゲンノショウコは地味な花で、香りも際立つほどではありません。

そこで私は、薬草として楽しむ他に、どんな楽しみ方ができるかと考えたあげく、
まず、エディブルフラワーとして試すことにしました。
エディブルフラワーとしてですから、葉っぱではなく花をということです。
美しくお料理を飾って、そしていただく。

そこで、登場したのが梅干しのはちみつ漬けです。

昨年、立派な梅をお友達からいただいて漬けました。
見た目はふっくらでおいしそうにできたのですが、とてもしょっぱくなってしまいました。
少しずつテーブルに出してみるのですが、
テーブルを共にする家族の中でしょっぱいものを食べてもいいのは私だけ、
あとは塩分制限のある夫と母。
勧めるわけにもいかず。

ある時ふと思ったのです。
塩抜きということが梅干しにもできるかもと。
さっそくググってみましたよ。
ありました! 
親切なお料理の先輩たちが、いろんな情報を上げていてくれました。
早速一晩水につけて、翌日、天日で干してから、はちみつ漬けにしました。

おいしくできました。一日一個食べられます。

そんな、苦肉の策のはちみつ漬けの梅干しを、ゲンノショウコの花と葉で飾ってみました。
もちろん、お花もパックン。
苦みがあって、
甘酸っぱい梅干しを食べた後の、苦みはなかなかいい感じでした。

梅干しとゲンノショウコ

ゲンノショウコは、私にとってはやはり鑑賞の対象です。

フウロソウの仲間の蕾の姿はたまらなくかわいいです。

この仲間の多くは、花柄の先に1~2個の花をつけます。
ゲンノショウコは決まって2個。
その二つの小さな蕾が並んでうつむく姿がいじらしいです。
そして種をつけるまで二つ並んで一緒。

gennnoshoukotubomi.jpg

茎を横に這わせて広がるゲンノショウコは、
他の花とも仲良しのようです。他の花の間から顔をのぞかせているのをよく見かけます。

種で簡単に増えますから、ぜひ皆さんもお庭にいかがでしょう。

西の方に多い赤花のゲンノショウコをいつか見たいと思っています。

ヒメフウロは、この辺りでも目にすることができます。
もともと在来種のヒメフウロは、伊吹山(滋賀県と岐阜県の境にある)や
四国の剣山など限られたところに生息していましたが、
園芸用に導入されたものがあちこちで繁殖しているそうです。
また、輸入の牧草などに交じって渡来した、
アメリカフウロやオランダフウロも同じ仲間です。
ゲンノショウコとの大きな違いはその葉の形、
ゲンノショウコの葉の切れ込みは浅いですが、
他のものは切れ込みが深いので見分けられます。

話はそれますが、
外来種の植物は、見るに珍しく、美しい花のものも多いので観賞用に重宝されます。
また、昆虫などにもありがちですが、
輸入された物に交じって日本に入ってきて、
このところの温暖化のせいか越冬が可能になり、
日本に住み着くという生物が少なくないようです。
いわゆる帰化した植物の中には、
かなりの勢いで繁殖しているものも少なくありません。
きれいなだけならいいのでしょうが、
一番困るのは、その繁殖力が日本の在来種の生存を脅かしてしまうこと。
地球上では、かなりの数の種の生物が日々絶滅しているといわれます。

例えば、秋のドライブで、遠くから見るときれいだなあと思うほど、一面に花を咲かせるセイタカアワダチソウ。
もしかしたら、そこ場所には昔、なでしこがピンク花を見せていたかもしれません。  

また、近頃は農業人口が減り、農地が荒れたままになるなど、
里山の手入れが十分にされなくなっています。
そのため、夏には植物がのび放題になる場所が多くなりました。
侵略的外来植物と言われるアレチウリ。
これが蔓を伸ばし木々を覆っている景色をよく目にします。
冬には枯れても、たくさんの種を結ぶこの植物は、
また翌年も芽を出し、野山を覆いつくします。
クズに覆われた野山もよく目にしますね。
このクズは、日本の在来種ですが、
アメリカに観賞用として渡り、今では野生化して、アメリカの野山も覆いくしているそうです。
アメリカにとっての侵略的外来生物ですね。

ちいさな種でも、大きな自然環境の変化に影響を及ぼしかけないのですよね。

そう考えると、庭で花を楽しむ際には、その花だけではなく、
種になってからも、ちゃんと管理できる範囲で育てなければならないなと、
最近強く思い自分に言い聞かせています。

日本の在来種で、古くから日本で薬草として使われているこのゲンノショウコですが、
その学名は、Geranium thunbergiiです。
日本原産の植物の学名にはjaponicaがつくことがよくありますが、これは違いますね。

カタカナで書くと、ゲラニウム・ツンベルギーでしょうか。

このツンベルギーという名は、
スウェーデンの医師であり、植物学者であった、Carl Peter Thunberg(カール・ピーター・ツンベルグ/カルル・ペーテル・トゥーンべり)の名前からとられています。
彼は、1775年にオランダ商館医として来日、
日本で植物を採取し、桂川甫周や中川淳庵らに、医学や植物学を教えたといわれる人物です。

ずーと国内で、大切にされて和名だけを持っていた植物が、
この頃から、学名を持つようになたのでしょうね。

ちょっとロマンを感じます。

hangingwreath.jpg

暑い夏も何とか過ぎていき、
太陽の日ざしが、斜めになるころゲンノショウコはその枝葉を伸ばし、
広がるように成長します。
庭仕事は、秋の花を楽しむ準備。
伸びきった枝の剪定や雑草取りをする季節。
ゲンノショウコもこの庭では、刈り取られる植物。
煎じ薬用に、全草を刈り取って水洗いし、小さくカットして、
一日天日干し、あとは陰干しで、4、5日かけて乾かします。
カラッとしたところでジップロックにシリカゲルと共に入れて保存します。

それでもまだあるゲンノショウコは、
枝を集めて作ったハンギングリースに他の植物と一緒にアレンジして部屋飾りとして楽しみます。
まだまだ残暑があるのであっという間に乾いてしまいますが、そのまましばらく飾っておきましょう。

華やかなバラのドライフラワーはあまり好みではありませんが、
楚々と枯れていく姿を見るのは、嫌いではありません。

時の移ろいを感じることができるから・・。

白い小さな花を咲かせるゲンノショウコ。
亡き祖母の、「ゲンノショウコはな・・・・・」
続きの言葉は思い出せないけど、
幼かった頃の空気を感じさせてくれる植物。

ずーと昔から私たち日本人の暮らしの中にあった植物。

忙しく流れる時間の中で、
その存在を知ることで、
ふと足を止めてみたくなるはずです。

足元の宝物。

和ハーブ
ゲンノショウコ

今ならまだ、そのかわいらしい花を見ることができますよ。
そしてひょうきんな「お神輿」の姿も。
身の回りの庭でぜひ探してみてくださいね。

参考文献 「和ハーブ にほんのたからもの」  古谷暢基/平川美鶴著
       「和ハーブ 図鑑」           古谷暢基/平川美鶴著


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プロフィール

 つむらやしのぶ

Author: つむらやしのぶ
福島の小さな村に暮らしています
庭づくりをしながら花仕事
和ハーブのある暮らし楽しんでます
和ハーブインストラクター
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instagram shinobu-t-2v と
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